第二回日本とEU都市間交流会合および欧州自治体による日本自治体の訪問を実施

2018年6月27日
IUC-Japan 事務局

IUC-Japan事務局は、2018年4月、持続可能な都市開発のための都市間協力を促進することを目的とした第二回日本とEU都市間交流会合および欧州の自治体がパートナーである日本の自治体を訪問し、交流会議や現地視察を実施しました。

第二回日本とEU都市間交流会合

2018年4月23日、駐日欧州連合代表部において開催された「第二回日本とEU都市間交流会合」には、欧州委員会や国土交通省とともにIUC-Japanプログラムに参加するEUと日本の自治体10都市が参加しました。

会合では、まず、駐日欧州連合代表部のヴィオレル・イスティチョアイア-ブドゥラ大使、欧州委員会地域・都市政策総局のロナルド・ホール顧問、国土交通省の榊真一大臣官房審議官が、高齢化社会やエネルギー転換など地球規模の課題に取り組む地方自治体の活動を歓迎する挨拶を行いました。続いてギリシャ・イオアニナ市のトーマス・ベッガス市長が、地球規模の課題や技術革新、経済発展における地方自治体の役割についてスピーチを行い、さらに郡山市の品川萬里市長が、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた福島地域を代表し、世界各地からの人道的な支援に感謝の意を表するとともに、国家ではなく地方自治体こそが、個々の人々のアイデンティティを結びつける場所であり、IUCプログラムにより、都市や国の境界を越えた対話が拡大し、より活発な交流が促進することを希望すると述べました。
IUC-Japanのプログラムコーディネーターである井村秀文名古屋大学名誉教授は、会合において、ペアのローカルアクションプランが最終成果であり、テーマが異なるため、各自治体によってその作成方法も異なることを説明しました。そして、IUC-Japanプログラムの実施期間終了後も、都市間のペアが継続して協力することを期待し、IUCプログラムが持つグローバルネットワークを最大限活用できるよう、参加自治体が行う取り組みについて、経験を共有するよう促しました。また、参加自治体に対し、IUCプログラムを通じて取り組むべき課題と目標を定めたパートナー協定を締結することを求めました。

会合の後半では、現在5組10都市の間で実施されている国際都市間協力活動について、報告が行われました。それぞれのパートナー都市の報告では、両都市の代表者が発表を行い、今後の交流に向けて活発な議論を繰り広げました。とりわけ、再生可能エネルギーやエネルギー効率、都市交通、高齢社会の社会的包摂、地域経済の活性化といったテーマについては、それぞれのパートナーシップで関心が共通しており、テーマごとにワークショップを実施することが有益ではないかとの意見も出されました。井村教授は、関心が複数のパートナー都市とで重複していることを認め、IUCプログラムで構築されている知識交流プラットフォームが持つ役割の重要性を示しました。

閉会式では、欧州委員会のホール氏が、IUCプログラムを通じて、2016年の第三回国連人間居住会議において採決された「ニューアーバンアジェンダ」を実現するためのEUの責務が強化すること、さらに、本会合と欧州都市による日本都市への訪問は、IUCプログラムをさらに拡張するために貴重な機会となることを強調し、和やかな雰囲気の中、会合は終了しました。

今後、夏から秋にかけて、日本の自治体がEUのパートナー自治体を訪問するスタディツアーが計画されており、今後、EUと日本の自治体間におけるさらなる都市間協力の促進が期待されます。

 

欧州都市による日本都市の訪問

IUC-Japanプログラムでは、「第二回日本とEU都市間交流会合」の開催に前後して、欧州自治体による日本のパートナー自治体への訪問が行われました。

生駒市とイタリア・アンコーナ市 2018年4月17日~21日
生駒市は、4月17日から22日にかけて、パートナー都市であるイタリアのアンコーナ市の訪問団を迎えました。両都市は、「クリーンエネルギー、社会的包摂、健康都市」を共通課題として交流を開始したところです。両市ともに高齢化の進行が急速なため、いかに子供を増やすかとともに、高齢者の介護予防、認知症防止対策などが共通の関心事となっています。今回は、市役所において、生駒市の母子保健事業、高齢者介護予防事業などについての説明と質疑応答を行うとともに、市内の施設見学を行いました。2日目の午前には、女性の社会参画を支援するために生駒市で実施している先進的な子育て支援事業として、幼稚園と保育園を統合した生駒市南こども園を見学しました。ここでは、アンコーナ市の代表団と園の教員や保育士、子供たちが一緒に手を取り合い和気あいあいとした交流が行われました。また、園に設置された太陽光発電施設や地熱利用システム等も見学しました。同日午後には、「介護予防で高齢者がいきいきとした地域づくり」(スマート・エイジング」の実施現場として「脳の若返り教室」などを視察しました。3日目には、地域の子どもの数の減少に対応するために行われた小学校と中学校の施設統合の現地を訪問し、そこでの新しい教育方法の開発などの現状を視察しました。アンコーナ市からは、市の財政負担、それぞれの事業の資金調達等に関心を示しました。また、移民の増加が大きな問題になっている現状が説明されました。地域産業の振興も話題となり、市内の日本酒醸造施設や茶筅づくりの実演も見学し、地元産品の魅力を高める方法についてイタリア人の目からの助言をもらいました。

横浜市とドイツ・フランクフルト市 2018年4月24日~26日
横浜市は、4月24日から26日にかけて、パートナー都市であるドイツのフランクフルト市からの訪問団を迎えました。両都市は、「スマートシティ」を共通課題として交流を行っています。フランクフルト市の代表団は、横浜市のみなとみらい二十一熱供給株式会社のプラントを訪れ、コジェネレーションシステムによる地域熱供給のしくみや、インターネットハブのデータセンターによる気候変動に対応した地域熱供給のマネジメントについて視察しました。また、低炭素水素サプライチェーンのパイロットプラント「ハマウィング」視察では、風力発電によって水から水素を製造し、同時に蓄電システムで電力の安定化を図るしくみについての説明を受けました。製造した水素は12台のフォークリフトの動力に活用するというモデル事業から、個々のテクノロジーをどのようなバランスで繋げると最適になるか、コスト削減のベストウェイを模索していることが興味深いテーマのようでした。

一宮市とギリシャ・イオアニア市 2018年4月24日~26日
イオアニナ市訪問団は、4月24日午後、愛知県一宮市役所を訪れ、中野一宮市長と意見交換を行いました。両市は「持続可能な交通」、特に自転車交通をテーマに交流を進めます。2日目は、一宮市博物館で市の歴史や産業等を学んだ後、木曽川沿いにある138タワー公園を訪れました。木曽川沿いに延びるサイクリングロードとその利用状況、レンタサイクルなどを視察し、市の担当者と意見交換しました。午後は、市のリサイクルセンター、尾州テキスタイルマテリアルセンターを視察しました。3日目の午前は市役所で関係部局の担当者と共に、意見交換を行い、今後、共通課題を明らかにし、共通のビジョンを決め、アクションプランを作成する大まかなスケジュールを確認しました。最終日午後は、NEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)のコントロールセンターを訪問、高速道路とその管理、情報サービス等を視察しました。

郡山市とドイツ・エッセン市 2018年4月24日~26日
郡山市は4月23日から26日にかけて、パートナー都市であるドイツのエッセン市からの訪問団を迎えました。両都市は、「クリーンな技術と持続可能なエネルギー」を共通課題として交流を行っています。郡山市では、エッセン市の代表団は、再生可能エネルギーと先端医療を地元の主要産業とするために設立された施設を訪問しました。再生可能エネルギーについては、震災後新たに設立された技術開発拠点、関連産業の育成と販路拡大を支援する団体、工業試験場などを視察しました。先端医療についても、同様に開発支援拠点、最先端のがん治療の現場などを視察しました。エッセン市は、東日本大震災の結果、中央政府と福島県からの資金援助を受けながら郡山市が産業構造を変換する様を認識し、福島市とノルトライン=ヴェストファーレン州との連携覚書の下、両都市は具体的な協力内容について更に議論を深めることとなりました。

弘前市とスペイン・ドノスティア-サン・セバスチャン市 2018年4月24日~27日
弘前市は、は、4月24日から27日にかけて、パートナー都市であるスペインのバスク地方にあり経済発展が顕著なドノスティア・サンセバスチャン市からの代表団を迎えました。両市はいずれも古い歴史を持つことから、市内に遺る古い歴史的建物をいかに保全、再生し、新しい街づくりに活かすか、その際に、建物のエネルギー効率をいかに高め、省エネルギー化を進めるかが共通の関心になっています。代表団が訪問した時季は、弘前市の有名な桜が満開のときに重なりました。一行はこれを楽しみつつ、弘前市が推進する都市景観やエネルギー等の施策について説明と質疑応答を行い、施設見学を行いました。城下町である弘前市には、藩政時代から遺る弘前城天守閣、寺町の寺院群のほか、明治・大正期に建設された多くの歴史的な西洋風建造物があります。ル・コルビジェのもとで学んだ前川國男の作になる建造物も多く残されています。弘前市は市内各所にあるこれら施設を壊すことなく復元し、またそれらを移築することによって新しい街並みを創りあげ、観光客の誘致と市経済の活性化にもつなげたいと考えています。また、豪雪地帯のハンディキャップを克服するエネルギー政策としてスマートシティビジョンを掲げて、さまざまな施策を推進しています。代表団は、市内に遺るこれらの建物とともに、弘前市庁舎のエネルギー管理システムを視察し、ゴミ処理発電、ゴミ最終処分場跡地に設置された雪国対応メガソーラー、岩木山の地熱開発調査の現場を訪問しました。

関連情報
第二回日本とEU都市間交流会合アジェンダ (日本語)
第二回日本とEU都市間交流会合アジェンダとプレゼンテーション(英語)

連絡先
IUC-Japan事務局(名古屋大学持続的共発展教育研究センター内)
TEL/FAX:+81(52)789-4768
E-mail:iuc@iuc-japan.eu